アーモンドのような形状が特長的なコーヒー3原種のひとつリベリカ種です。リベリカ特有のフローラルでフルーティーな風味と、森林や大地を感じるような味わいです。ヘーゼルナッツのような香ばしさと、レーズンのようなフルーティな甘味があります。
甘味 |
★★★★★★★ |
コク |
★★★★★ |
まろやかさ |
★★★★★ |
香り |
★★★★★★★ |
酸味 |
★★ |
苦味 |
★★★★ |
★印8段階、オススメ焙煎での評価です。
コーヒー豆 データ
農園名 |
コフィア・ディベルサ・ガーデン |
農園主 |
ゴンザレス・フェルナンデス |
エリア |
ビオレイ |
コーヒー種 |
リベリカ |
プロセス |
ナチュラル・ワイニー・プロセス |
標高 |
1200m〜1350m |
オススメ焙煎 |
中煎り |
スペシャルティコーヒー先進国コスタリカ
コスタリカは小さなコーヒー生産国ですが高品質なコーヒーを生産することで世界的に知られています。1992年からアラビカ種のみの栽培が法律によって定められ、ロブスタ種の栽培が厳格に禁止されています。また、コーヒーの全生産量の約50%がスペシャルティコーヒーだと言われるほどのコーヒー先進国です。コフィア・ディベルサ・ガーデンは、パナマ国境に近い、コスタリカ最南端のプンタレナス州ビオレイという場所にあります。この地域は、50万ヘクタールという広大な面積を誇る中央アメリカ最大の自然保護区でもあるラ・アミスター国際公園の端に位置し、コーヒーを栽培をするために最適な環境がそろっています。コフィア・ディベルサ・ガーデンはラ・アミスター保護区群のタラマンカ山脈の山頂に近く、太平洋側気候と大西洋側気候の両方の影響を受けるため、マイクロクライメット(微気候)の恩恵を受け個性的なテロワールを持つコーヒーが育まれます。ラ・アミスター国際公園は世界最大の熱帯原生雨林で、この一帯は1982年に生物圏保護区に指定され、翌1983年に世界遺産に登録されました。
200種以上に及ぶ稀少品種を栽培するプライベート・コレクション
コーヒーの木は、被子植物門・双子葉植物綱・アカネ目・アカネ科・コーヒーノキ属に分類され、2亜属(コフィア亜属とバラコフィア亜属)103種に分けられています。その103種の中の【アラビカ種】【カネフォーラ(ロブスタ)種】【リベリカ種】 は、コーヒー3原種と呼ばれています。世界で栽培されているコーヒーの約80%は【アラビカ種】、約20%が【カネフォーラ種】だと言われています。この2種が世界のコーヒー流通量の約99%を占めています。【リベリカ種】は、コーヒーのサビ病に極端に弱く、現在は世界の生産量の1%未満です。このコーヒー3原種を含む103種のコーヒーの栽培の過程で、変異種の発見や品種改良が行われた結果としての分類が栽培品種です。【アラビカ種】に分類されるティピカやブルボンなどが、この栽培品種になります。つまり、一般的に流通しているコーヒーの品種と呼ばれている部分は、この栽培品種に当たります。世界中の多くのコーヒー農園は、アラビカ種のブルボン、ティピカ、カトゥーラ、カツアイ、カチモールといった栽培品種(以下:品種と記す)を栽培しています。コーヒーには多くの品種が存在しますが、一般的にはあまり知られていません。コーヒー生産者ですら、知らない品種も多く存在しています。収穫量が低かったり、害虫や病気に弱かったりという理由から、それらは栽培されることがあまりなく、研究施設などで育てられる程度にすぎません。
コフィア・ディベルサ・ガーデンでは、200種類以上に及ぶ稀少品種を栽培しています。これは、世界最大規模を誇るプライベート・コレクションと言えるでしょう。植物園に行けば世界中の様々な珍しい植物が見れるように、コフィア・ディベルサ・ガーデンでは世界中の様々な珍しいコーヒー品種を見ることができます。コフィア・ディベルサ・ガーデンでは、稀少な固有種、突然変異種、自然交配種など、様々なコーヒーの稀少品種を栽培していますが、それらは稀少品種が故に限られた数量しか収穫できません。コフィア・ディベルサ・ガーデンの名前は、スペイン語のcoffea(コーヒー)・diversa(多様性)という意味からきています。つまり、【様々なコーヒーのある庭】という意味です。オーナーのゴンザレス・フェルナンデス氏は、『我々はコーヒー農園ではなく、コーヒー・ガーデンだ。』と言います。生産性が低く、商業流通に向いていなくとも、個性豊かで優れた香味を持つコーヒー品種を集め、綺麗に区画を分け丁寧に育てています。
ほとんど流通していないコーヒー3原種の1つ「リベリカ種」
コーヒーの木は、被子植物門・双子葉植物綱・アカネ目・アカネ科・コーヒーノキ属に分類され、2亜属(コフィア亜属とバラコフィア亜属)103種に分けられています。その103種の中の【アラビカ種】【カネフォーラ(ロブスタ)種】【リベリカ種】 は、コーヒー3原種と呼ばれています。世界で栽培されているコーヒーの約80%は【アラビカ種】、約20%が【カネフォーラ種】だと言われています。この2種が世界のコーヒー流通量のほぼ100%を占め、その他の101種のコーヒーは、ほぼ生産されていないと言ってもいい状況です。
【アラビカ種】は、栽培品種のティピカやブルボンなどを含む200以上の品種があるエチオピア原産の高品質なコーヒー種です。【カネフォーラ種】は、一般的にはロブスタ種と言われ、ブレンドコーヒーのカサ増し材として使用することが多く、高品質とは言いがたいコーヒー種です。コーヒー3原種と呼ばれながら、【リベリカ種】は、ほぼ生産されていないといっても過言ではありません。1870年頃に西アフリカで発見された新種のコーヒーノキは、1874年には正式に記録され、1876年に【リベリカ種】と命名されました。この新種のコーヒーノキが発見された当時は、まだ世界中でコーヒーは【アラビカ種】しかないとされてるような時代でした。
1861年、アフリカのビクトリア湖の周辺で世界で始めてコーヒーのサビ病が発見されました。コーヒーのサビ病はコーヒーを枯らす伝染病です。ケニアでの1861年の発見後、1869年にはスリランカに渡り、インド、インドネシア、アフリカへと、感染が爆発的に広がりました。特に、スリランカ、インド、インドネシアは壊滅的な被害を受けました。その後、スリランカのコーヒーは紅茶の栽培へと切り替えられた程です。現在までにコーヒーのサビ病は、2度のパンデミック(大流行)がありました。1度目は前出の1861年から19世紀末にかけて、東南アジアで壊滅的被害をもたらしました。そして2度目のパンデミックは1970年代に中南米で発生したものです。
リベリカ種の発見当初、リベリカ種は通年で開花結実し、ジャワ島の多雨な低地にも適応した種であることで注目されていました。特にジャワ島西部の標高の低いエリアでは、1896年にはほとんどのアラビカ種がリベリカ種に置き換えられていたという記録が残っているほどです。この頃には耐サビ病性があることも知られるようになり、インドネシア各地に徐々にその栽培が広まっていきました。リベリカ種のコーヒー豆は大型で見栄えがよく、当初はアラビカよりもやや高価に取引されていたそうです。その後、耐サビ病性が不完全であることが明らかになります。さらに、1本の樹から収穫できるコーヒー豆がアラビカ種やカネフォーラ種と比べ少ないということもあり、リベリカ種の栽培は縮小していきました。現在、リベリカ種は商業的に栽培されていることが殆どなく、東南アジアの一部で栽培されているに過ぎません。この【コスタリカ リベリカ ナチュラル・ワイニー・プロセス コフィア・ディベルサ・ガーデン】は、非常に稀少なリベリカ種でありながら、東南アジア産ではない非常に稀少なコスタリカ産のリベリカ種です。
リベリカ種の特徴は、なんと言ってもコーヒー豆の形状です。アーモンドやティアドロップ(涙のしずく)のような形をしています。アラビカ種に比べ酸味が弱く、カネフォーラ種に比べ苦味が弱いのも特徴のひとつです。リベリカ特有のフローラルでフルーティーな風味や、森林や大地を感じるような味わいです。
ナチュラル・ワイニー・プロセスとは
コーヒーの果実から種子であるコーヒー豆を取り出す方法は、大きく分けて2つあります。1つは乾式と呼ばれる方法で、収穫したコーヒーの果実を乾燥させてから、その乾燥果実を脱穀し、種子であるコーヒー豆を取り出す方法。もう1つは湿式(水洗式)と呼ばれる方法で、収穫したコーヒーの果実から種子であるコーヒー豆を取り出してから、乾燥させる方法です。乾式はナチュラル・プロセスとも呼ばれ、歴史的にコーヒー栽培が始まった頃から行われている乾燥方法です。湿式(水洗式)はウォッシュド・プロセスとも呼ばれ、果肉を除去する際に水を使い洗ってから乾燥させる1845年に発明された比較的新しい乾燥方法です。
このコーヒーは、真っ赤に完熟した稀少種リベリカのコーヒーの実を丁寧に一粒ずつ手摘みし、果実のまま天日干しにするナチュラル製法で乾燥させました。コーヒーの果実を丸ごと乾燥させるナチュラル製法で作ったコーヒーは、完熟した果肉の糖分が豆に移り、コーヒーに甘味をもたらします。更に、通常のナチュラル製法での乾燥とは違い、コーヒーの果肉に発酵を加えるナチュラル・ワイニー・プロセスを採用することで、ベリー系のドライフルーツや果実酒のような独特の甘い香りが特徴的なコーヒーに仕上げています。発酵を加えるナチュラル・ワイニー・プロセスは管理が非常に難しく、高い技術が必要とされています。木や鉄製の枠を組み、そこにネットを張ったアフリカンベッドと呼ばれる乾燥棚で乾燥させることで、丁寧に乾燥させています。アフリカンベッドは、ネットの下側から風が入ることによって乾燥が均一になり品質が高くなるといわれていますが、乾燥むらをなくすために手間をかけ定期的に何度も均一に混ぜなければならず、難しい技術と労力が必要です。コーヒーの果肉に発酵を加えるという特殊な乾燥は、発酵の状態の見極めが非常に難しく、コフィア・ディベルサ・ガーデンの高い技術があって初めて完成させることが出来るコーヒーだと言えます。